2008年9月19日金曜日

アサヒ:太田農水相・白須次官辞任 汚染米問題で引責……とても正直な人であっただけに残念

太田農水相が早々と辞めてしまったらしい:
asahi.com:太田農水相・白須次官辞任 汚染米問題で引責 - 政治: "太田農林水産相は19日の閣議後、福田首相に対し、農薬などで汚染された事故米の不正転用問題をめぐる農水省の一連の対応の責任をとって辞任する意向を伝えた。"
これだけ素直にニッポン農業の実態を語る大臣は少なかっただけに、とても残念である。

記憶するべきは太田農水相が「事故米は食べても大丈夫」と繰り返し発言してきたこと。秀才エリートの農水次官も同じことを言っていたから、これは事実なんだろう。

だったら、なんで巨額の国民の税金を使って輸入米を市場から隔離する政策を採り続け、外国農産物は危険だとするマスコミ宣伝を大金を費やして(国民の税金で)やって来たのだ! 

輸入米は隔離して、長期保存して、食えないようにしてから国産米に影響が及ばないようなかたちで処分する。でもその処分米を利用して自分が面倒をみている既得権集団が儲けることは黙認する。これが農水省の一貫した政策であった(農水関係の既得権集団はノーソンばかりじゃない、三笠フーズもお仲間だ)。

農水省が予測できなかったことは、自分で長年かけて外国農産物を敵と見なすように育て上げたニッポンの消費者が「食の安全」に過剰に過敏になってしまったことだ。「消費者なんかは適当に煽って外国農産物を食わないようにしておけばいい」と甘く見て自分らノーソン集団の利益のために利用してきた。「飼い犬に手を噛まれたとはこのこと」……そう思っているのではないか。

問題の本質は、コメの異常な高関税にあり、それをWTOに認めて貰うかわりに農水省が喜んで受け入れたミニマムアクセス(MA)米制度にある。農水族はMA米は「国民の税金で」処分してしまえばいいと考えていたが「いくらなんでも食べられるコメを処分するのはモッタイナイでしょう、それで儲けさせてください」という「身内」からの陳情に「良きに計らえ、おいらも助かる」と言ってそれを認めた。これが今回の事件の真相だ。

「外国米の輸入はコメの高関税を認めて貰うかわりの交換条件だから認める、でも輸入したコメは全部腐らせるのだ、費用を払うのは国民だからおいらの知った事じゃない」という農水省の過去一貫した「都市住民搾取政策」が、いよいよ破綻を迎えているのである。

ニッポンのマスコミはそのことをどうして報じないのか。マスコミの記者はイナカ出身者が多いため、自分の家族が損するようなことは書かないためである。

9 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

ところでMA米を昨今の国際相場高騰にあえぐ諸国民の援助に廻すという方策は如何なったのであろうか?

匿名 さんのコメント...

農水省の役人の給料は現金ではなく、今後は、すべて輸入米を現物支給してほしく思います。ついでに、頭髪スタイルを「ちょんまげ」で。各地方局の自動者を駕籠に。これで、立派なお代官さまです!

Unknown さんのコメント...

MA米を援助に回すのは厳密にはWTO規則に違反します(国内で流通させることこそMAの趣旨だから)。今やっているMA米を保管してわざと腐らせるというのももちろんルール違反。援助に回す方が役には立ちますが、国内で余分に作りすぎている国産米を援助に回すべきでしょう。

農水省の役人にMA米を食わすなんてモッタイナイ。国産米で十分です。ただ自分で高い国産米を買わせること。縁故米や季節の農産物の贈答はすべて禁止にするべきですね。イナカの政治家と名刺交換するだけで、食べきれないほど大量の地元産品が届くのが通例。農水省の役人なんか自分で食い物を買ったことがないんじゃないか。

匿名 さんのコメント...

歳出は、各省庁、予算で明確になっていると思うのだけど、農水省関係だけからの歳入はいくらになっているのだろう。聞いたことがない。現在、全体の歳入より歳出が多いことは誰もがしっているけど、各省庁の歳出入のバランスは白書で常に公開するようになった方がいい。別に、農水省が自分たちの歳入だけで完全にまかなっているのなら、まぁ、立派だけど、どのくらいバランスが悪くて、国債に依存しているのかな。せっかく高い関税を農産物にかけているのに、それがどこへ行っているのだろう。まさか裏金とか。例えば、いらない農業用水路を作って業者が儲かるとか。今やパソコンの時代になっているのだから、各部署の予算配分や使われ方も白書に印刷できないなら、ネットで閲覧できるようにすればいいのに。たぶん、今回のことは、農水省はやたらなんとか局、局長、その上地方でとかで、なんかすごい数があるみたいで、派閥争いで名誉のとりあいで起きて、自分の身内からの密告でバレたのだと思う。利益目標のない派閥争いは不毛な結果しかならない。で、とにかく、各省庁は、自分たちの歳入でなんとかする、そして、うまくいかなければ、人員を減らしたり、民間に権限をゆずるなりしていくしかないのだと思う。バカみたいな、予算の取り合いと、余っても使い切ってわざと赤字になるぐらい使うようなのは、結局、自分たちの仕事での利益をまったく考えないからなんだと思う。あと、たぶん、業種ごとに税率が違ってもいい。小学校の先生なんかは給料が低くても無税で、アルバイトを認めるとか。それこそ、学校給食は、農家が直接格安納入すれば、補助を受けられるとか。余った農産物は実費だけで給食に活用すればいいのに。ちょっと部署がまたがると何もできなくなってしまう役人は、どうかしている。ま、あてにならないことはハッキリしているから、自滅してもらうしかないのだろうね。あるいは、農水省が変われば、大きく変わると思うよ。生きていくために食べることは、基本中の基本なんだから。そこで嘘がまかりとおるなんて。正直に説明して、農水大臣は、常にまっさきに、毒味してくれれば、一番わかりやすい。毒味役は、歴史がある立派な仕事だし。(ちなみに健康な人の舌は、ちゃんとわかる。わからないように細工された毒は、特殊な能力が必要みたいだけど。それに、危篤にならない量なら、たいてい、吐きだしたり下痢したりして、吸収しないのが、動物本来の姿。日本は清潔すぎて、逆に不健康。)ま、今は、原油と塩の関係を思い巡らせるのが楽しいかな。塩は、もともと高かった。サラリーの語源でもあるし。もしかしたら、将来、オイリーマンとかガロリーマンとかに変わったりして。

Unknown さんのコメント...

石破茂防衛大臣が、今回の事故米事件の大元は、ミニマムアクセス(MA)米と、それをもたらした700%にも上るコメの高関税と、その高関税でしか存続できないニッポンの農業にあると喝破(総裁選挙の遊説で)。

彼を見直した。彼が総裁になるんだったら自民党に一票入れるけど……無理だな。

匿名 さんのコメント...

私も石破氏は単なる軍事オタクかと思っていましたが、ものごとをバランス感覚でとらえようとする、少なくともその努力をしている政治家であると感じています。
アメリカの原子爆弾投下を一方的に非難する声に対しては、「日本も研究していたのであり、持っていたら使ったであろう」と、竹島問題については、彼は隣の鳥取選出ですが、「植民地政策とは関係なく、歴史的に日本の領土である」ことを具体的に述べながらも、それを声高に一方的に主張するのでなく、韓国に冷静な議論を求めています。

Unknown さんのコメント...

わたしも彼はオタクでネクラと思ってたのですが、けっこういいですね。きっちり理詰めで考えてゆくタイプみたい。永田町の政策に強い女性スタッフの人が石破茂のファンだと聞いて不思議に思ってたのですがなんとなく分かります。

匿名 さんのコメント...

残念ながら政界では、このタイプは敵も少ない代わりに味方も少ない、ポピュリズム政治の時代にあっては、愚民大衆の支持も得られないということですか。偏執狂の小泉に象徴されるようなアクの強さを求めている今の世相ではなおのこと。

Unknown さんのコメント...

関連して内田樹がオモロイことを書いてます:

http://blog.tatsuru.com/2008/09/23_1155.php

こういう風に思っていたほうがいいのかも知れませんな。